学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。
今日は時間に余裕があったので3行以上書くように言ったのに、4名の学生がその条件を満たさないままリアクションペイパーを提出している。次回このひとたちに理由を聞くのでなぜ指示した通りに書かないのか教えてください。先生は激オコです。
「ライガー」はトラとライオンの「あいの子」だと聞きましたが、交配できているということは種は同じなのですか?
ライガーは成獣になれることが少なく、また子は繁殖力を持たないことから、種は異なるだろう。
「サルが子どもを殺す」というのは大人の子への虐待みたいなものなのですか?
子育てと次の子どもを作ることとの葛藤の問題としてみると似ているかもしれない。
一夫多妻制は雄にとっていいことだと思っていましたが、実はそうではないということがわかりました。
ほとんどの雄はあぶれてしまうからね。
ザリガニ等の動物は共食いをしますが、これは種内攻撃と言えますか?
種内攻撃の一種と言えるけれど、「個体数調整」という意味合いはないだろうね。
ハヌマンラングールの雄が子どもを殺してしまうというのは、動画を見ていてもとてもかわいそうで、受け継がれる必要のある遺伝子なのかな、と思ったが、自分の利益のためなのだったらやはり必要なのか、とも考えた。
必要か必要じゃないかという話ではないけどね。
私たち人間は、多細胞で進化の上では1番すぐれているのに
進化に優れているも劣っているもない。
種の保存がある程度信じられるようになった理由は何ですか。
授業でも説明したけれど、ローレンツの影響が大きいと言われている。
人間は種の保存を意識して子どもを産んでいるのですか?
そう思う?
雌にとっての子殺し防止の利益が雄の子殺しの利益より小さいのは種にとっての利益の大小を見た時のものですか? その雌の個体にとては愛情をもった子への殺しには何の利益もないなと思ったので。
何の利益もないが、それより雄はひどいことになるということ。雌は子どもを殺されてもまだ子どもを残せるが、雄は残せない。
ハヌマンラングールはどういう経緯で「子殺し」という行動を生み出すことになったのでしょうか。そんなにメリットがあることだとは思えません。そりゃあハーレムの中に他人の子供がいるのは嫌でしょうが……。
なぜ「思えない」の? 子殺しをしたら自分の子どもを産ませることができるんだよ? そういう個体の子孫が残るでしょう?
心理学統計法の授業の時に古満先生が「男は体が弱いから比率的に女より産まれる人数が多い」とおっしゃってました。
あとはたぶんやんちゃをして死にやすいんじゃないかな。
「種の保存」のために自己犠牲することは無くとも、「種の保存」のために性行為をするのでしょうか。
いいえ。性行為をする個体の方が子孫を残すから。「のために」という動機による記述はこの場合意味がない。
ハヌマンラングールの子殺しについて、子どもを殺さなくても、自分の子として育てるとか、他の方法はなかったのかなと思いました。
爆弾で何十万人もの人を虐殺したり、生まれてこないように堕胎したり、飼えなくなったペットをガス室送りにしたりする人間に、ハヌマンラングールのことを責める権利があるのだろうか。
突然変異などで子がいても発情できる雌が生まれたとしたら
さて、どういうことが起こるだろう。子どもがいるのに発情している雌は子どもに十分な愛情を注ぐことができなくなるよね。そうなると子どもはちゃんと育つかな?
自然淘汰、群淘汰、適応度、最適化、種の保存、個体の保存……とにたような用語が出てきてそろそろ混乱してきました。よくわかるおすすめの本があれば教えてください。
長谷川眞理子先生の『進化とはなんだろうか』はどうでしょう。岩波ジュニア新書だけど、「ジュニア」と馬鹿にはできない内容なのでおすすめ。図書館にもある。
「種の保存」って、子供を作るための人間の“精子と卵子”ってのことですか。
いや、そうではない。「種」というのは互いに交配可能な範囲を示す (中国語のWikipediaではこれ)。中国語はよく分からないが生物分类的基本单位であって、並能够交配繁殖出具生殖能力後代的相关生物群体ということが大事。同じ種の仲間に協力するとその種全体の適応度が上がる、という説。ところが、協力しない個体の方が得をするから、そんなに簡単にはいかないよ、というのが授業でのお話。
この授業をうけてから人間は動物の中の一種で決して特別な存在ではないということを実感するようになった。
まさに、そういうことを伝えたい。
心理学->メンタリズム->人の心を読むんでしょ? と他学部の人が言ってきますが、一言で説明するならなんと言えばしっくりきますか?
お前の心など心理学の理論を用いるまでもなく簡単に見抜ける、と言っておけばよい。
先生は常に一般的な考え方とは逆、または違う見方、考え方をしているように感じますが、それは「自分は周りと違う」といった考え方をもっているわけではないのですか?
僕は特に周りの人とそれほど違う人間だとは思っていない。そこらへんにいるふつうの人間だと思う。なので、自分の意見を表明するときくらいは違うことを言うように心がけている。みんなが責めている人を一緒になって責めたってしょうがないよね。
人間は再婚した際、相手に連れ子が居たとしても、上手く家族として生活できるかはともかく、殺しはしません。
ほとんどの場合幸せに生活できる。そういう例が僕の周りでも複数ある。ただ、データを見ると、実子よりも継子で虐待のリスクは高い。
自分を良いと思ってくれる人が見つからないので、生き残れない遺伝子だったっぽい。
まだ妊娠不可能な年齢になるまでかなりあるよ。
個体数を調整するために親の方が他の子供を殺してしまうようなサルが存在することに驚きました。
「個体数の調整のためではない」と言っているのにどうしてこうなるのか。
種内攻撃は「種の保存」のためにより強い子孫を残すために行っているのだと感じたが、間違いでしょうか。
間違いだと思う。「種の保存」という概念はそこでは必要ない。自分の子孫残すのに有利だった、ということで説明できる。