学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。
自然淘汰によって産みだされた適応的形質がさらに再度自然淘汰が繰り返され最適化されるという考えでいいんでしょうか。
その環境に適応していって、現状の制約化でもっとも適応した状態というのが最適化。
哺乳類の中で、人間ほど大脳が発達している動物はいないのではないでしょうか? これは領土争いを起こさせてはいないでしょうか?
ヒトの進化が戦争に結びついているのではないかという考え。残念ながらそういう側面はあると思う。発明品を改善していくという文化進化の能力のせいで核兵器ができたわけだし、戦争の「効率化」も進んでいると思う。
意思決定について、遺伝的基盤の存在が関係している部分 (個人差)、状況など外的な理由に影響されている部分と、両方あるのでしょうか。「自由意志はない」と言われている事とは関係ありますか。とても難しいです。
意思決定については当然遺伝的な影響の強いものと弱いものがあるだろう。でも、これについてはまさに今研究が進んでいる途中なのだと思う。例えば慶應大学の安藤先生の研究とか。「自由意志はない」という問題は「自由」をどう設定するかにかかっているように思う。が、少なくとも、われわれが思っているほど自由ではない (無意識の過程がかなり強い影響力を持っている) と言われている。でもこれが意思決定の遺伝的基盤とどう関係するか、といわれるとそれはちょっと分からない (僕には)。
鳥は空を飛ぶためによりよい行動を見につけたりするのは分かります。でも人間は、最もよい行動はそれぞれの考え方で変わると思います。
どうしてそう思う? そもそもそこで言う「最もよい行動」って何? 「よい」というのは授業ではきちんと定義されているよね? それは何か分かる? 例えばある人は「子どもは作らないほうがよい」と考えてその通りに行動しているとする。では、最適行動は「子どもを作らないこと」ということになる?
もし「これが私の個性だ!」と思えるものがあったとしても、もしそれが遺伝であると分かった時、その人自身の個性ではなくなってしまう気がしました。
そんなに自分たちに個性があるだなんて思わないほうがいいよ。別にみんなそんな個性なんてないって。ふつうの人間は量産型。
最近種の違う動物同士で子をつくる話をよくきく。
種というのは交配可能な範囲のことなのだから種の違う動物同士で子を作ることはできない。
人間行動遺伝学とかは心理学と関係ありますか? また、遺伝とかが出てきますが、生物を勉強した方がいいのでしょうか。
いずれの質問への答えも、「はい」。
最適な進化が、とても工夫してあるので、おもしろい。
どう面白いの?
環境によって遺伝子が異なることが分かった。
分かったからどうなのか。それに理解のレベルとして雑すぎると思う。どう異なることが分かったのか。
一卵性や二卵性が気になった。
こんなコメントをするために90分の授業料を払っているのだとすれば高すぎると思う。どう気になった?
ところで、先生は恋愛感情を誰かに持った時、自己分析をしましたか?
したことはない、というか、自己分析というのをどうやるのかが分からない。なぜ分析しないと分からない自分があると思うのか。
私語が耳障り、行動が目障り。ずっと話しをしていて、落ち着きのない人達が周りにいて、不快で、気分が悪くなりました。
僕が気づいたら注意をするし、僕が気付かない場合はもちろん自分で注意しても構いません (しにくいか)。とにかく他のひとの迷惑になることはやめてもらうようにもう一度授業の最初に言います。学生を子ども扱いするようなことはしない主義なんだけど、しょうがない。
自分的には満腹になったら食べるのをやめるだと思うんですが、これは戦略といえますか?
もちろん、それも戦略。でも、その戦略だと中年になったときに腹が出る。
ブタが空を飛ぶというのが最適かどうかは分かりません。
確かに、何をもって「最適」とするかは簡単ではないね。それはその通り。ここで言いたかったのは、「最適」といっても無制限ではないということ。
僕もレッドブル飲んで翼をはやして、進化したいです。
この感想だと、その翼を使ってそのまま教室から飛んで出て行ったほうがいいのではないか。
個人差がある問題に対して遺伝率を使う。
リアクションペイパーはノートを取る場所ではない。
最適化 (最適) を生み出すのは進化であるのですか?
進化の結果、最適化が生じる。
人間は欲を満たすために性行為をしますが (避妊具などをつかって)、他の生き物は子孫を残すたのが目的でしますよね。
そうではない。人間だって他の動物だって「子孫を残すため」に性行為をするのではない。すると結果的に子孫が残るだけ。
人間の心や意思決定が遺伝的基盤に基づいているのなら生まれつきLGBTの人は突然変異なのでしょうか?
それは何らかの意味で適応している可能性もあるので、何とも言えない。少なくとも同性を好きになる傾向は「生物学的におかしい」というのは誤り。実際いるんだから。
私たちが特に苦いと感じるゴーヤやピーマンは特に人の体によくないのですか。
食べ過ぎたらね。でも、そんなことを言ったら甘い砂糖だって食べ過ぎたらよくないんだけど。
私は一卵性双生児だけど、遺伝子まったく同じとかきもいなって思いました (笑)。
相手も思っているよ (笑)。
この授業がなぜ心理学なのか、もう1回教えてください。
ヒトは環境に適応する生き物だから。
人間には求愛行動と言われる行動はあるのか? と疑問に思った。
「好きです。付き合ってください」とか、晩御飯おごるとか。「終電いっちゃった」とかいろいろあるでしょう?
二卵性双生児の3つ子ver.って、33%ずつ共有しているってことですか?
どう思う?