広島修道大学には授業公開の制度がある。多分他の大学にもあるだろう。希望する教員が授業を他の教員に公開してアドバイスをもらうという制度で、FDの一種になっている。
授業公開をしたり、公開されている他の教員の授業を参観したりすると教員評価の点数が上がるので、授業の公開数は毎年増加している。一方、公開された1授業あたりの参観人数は年々減っている。3年前には1つの授業につき平均して3名ほどの参観があったのだが、去年は1名程度まで減ったそうだ。当然、公開したのに誰も来ないということもある。
先日の研修会で「公開しているのに1つの授業についての参観者が少ない」ということが改善事項として挙げられていた。その改善策らしいものがいくつか挙げられていたが、本質的な改善策は提示されなかった。また、なぜ授業を公開しているのに参観者が減って行くのかについて正確な分析は1つもなかった。
教員にとって、授業を公開しても公開された授業を参観しても教員評価で得られるポイントは同じだ。自分がやっている授業を公開しても、ちょっとした報告書を出すだけで特にたいしたコストはない。ところが他の教員の授業を参観すると90分の仕事が発生する。
しかも、こういった制度を数年続けているとだんだん観るべき授業が減って行く (教員の構成は大幅には変わらないので当然)。
授業参観の希望者数は増えたり減ったりで特に増加したり減少ししているわけではない。公開される授業の数が増えているのだから、公開された授業1つあたりの参観者は少なくなる。ごく当たり前のことなのだが、これのどこが問題なのだろうか。どうしても1授業あたりの参観者数を増やしたければ公開される授業数を減らせばよい。ごく簡単な算数の話だと思うのだけど、いったい何が問題なのだろうか。
授業公開なんてものがそもそも授業の改善に役立つかどうかという「そもそも」の議論は当然あるわけだが、それはまた今度気が向いたら考えよう。
#そもそも授業なんていつ誰が見に来ても全く問題ないと思うのだが (実際、以前人文学部の教授会ではそういった議決をしたと思う)。