不定期に送られて来る「学長通信」から。
中教審の答申で、授業時間を15時間確保せよと言われているらしい。試験をやる場合には、その15時間の外でやれ、ということで、学年歴をどう組むか現場はたいへんのようだ。多分大騒ぎしているのは、うちの大学だけではあるまい。
15週の授業時間を確保するために、一部の留学プログラムを諦めなきゃいけないとか、祝日に授業入れなければいけないとか、そういう問題が起こっている。文科省の馬鹿官僚がどう考えているのかは分からないが、無理矢理1週授業を増やしたところで、教育効果など絶対に上がらない。なぜなら、大学の教育効果は「授業以外のところで」達成されるものだからだ。「出席してもしなくても人生に影響がない」というのが大学の授業のよいところだ (少なくとも僕の授業に出席することは生きて行く上で何の意味もない――たまに勘違いをして「先生の授業で目覚めました!」という学生が何年かに一人くらい出たりするが)。こういうくだらない「厳格化」によって失われるのは、学生が旅行をしたり、留学をしたり、恋をしたり、いわゆる「自分探し」をしたり (ほとんどの場合くだらないものが多いが) といった (授業よりもずっと大事な) 大学生活における本質的な部分なのだということを官僚どもは肝に銘じてもらいたい。
うちの学長がチキンでないなら、こんなくだらない答申は無視するべきだ (半分冗句だが、半分本気!)。
授業時間の確保と単位の実質化 (学長通信No.28 2009/07/28)
梅雨空がまだ明けませんが、前期セメスターも終わりに近づき皆様お忙しいことと思います。別途ご案内いたしましたように、7月23日(木)に開催されました第578回(臨時)大学評議会にて、2010年度から、大学設置基準ならびに本学学則に定められているように1単位15時間の授業時間を確保することとなりました。今般の中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」にも、定期試験とは別に授業時間を確保することが課題であるとうたわれています。国の施策もさることながら、私たちは、学生たちの力をつけるためにはどうすればよいかを今まで以上に考えていかなければならないと思います。現在2010年度学年暦に関し、教務部に大変なご苦労をおかけしながら何度も修正案を作成していただき議論していますが、教職員の皆様が本学の根幹に関わる教育のあり方、内容、方法などをめぐって真剣にご議論いただいていることを大変ありがたく思います。
今回の授業時間の確保を、いわゆる「単位の実質化」なり「教育の質保証」に本学としてもつなげていかねばと考えます。まずはシラバスに15回分の授業内容をきちんと明記すること、さらには授業準備や復習、課題への取り組み時間などもあわせて単位に含まれることからこれらを学生たちに指示していく必要があります。試験のあり方についても、定期試験と授業中の試験や小テストとの違い、レポート等の位置づけや平常点の考え方など、厳格な成績評価に向けた議論をFDとしてもしっかりしていく必要があると思います。近年、法科大学院に対してはこうした教育面に関して相当厳しく国から要求されている状況にありますが、学部や他の研究科についても同様の流れの中に入っていくことが予想されます。また、認証評価機関による教育評価項目にも、こうした観点が掲げられることになると思います。
現在、2011年度カリキュラム改正のための議論もお願いしております。また、建物計画についても、既存の建物建替も含めて,学生の学習支援、生活支援の観点から今後の工程表を練りはじめたところです。さらにそのために必要な組織・機構の見直しの検討に入りました。「学生のための大学づくり」を進めるべく、本学の教育面を一層充実できればと思います。
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発行人: 広島修道大学学長 川本明人
担当: 学長室総合企画課 (秘書室)
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