学生から提出してもらった「出席カード」(大きい方) に書かれていた感想・質問・苦情から。
今回は授業開始から40分も延々しゃべり続けてしまった。それでなくても進行が遅れているのに、こんなんじゃまずい!
今日の授業を聞いて浮気をするのは仕方ないと思いました。
「浮気をするのは理由がある」ということと「浮気をしてもよい」ということは別のこと。この授業では、進化生物学的な観点から浮気をしてしまうのはなぜか、ということを論じているのであって、「浮気はしてもよい」などと主張する気はさらさらない。浮気はやめよう。
(以前行った調査の説明から) 血液型は他の国でも存在するのか?
血液型は実は日本にしか存在しない、わけない! ただし、血液型の分布は人種によりかなり異なる。
精子競争において、対称性の高い男性の精子が受精しやすいということは、顔の良い人が増えそうなものですが、現実にはそうでもないのはなぜですか。
実際には性淘汰の力によって「顔の良い人」は増えているはず。10万年前よりもはるかに。
血液型はやはり人間行動に関係があるのだなと分かった。
いいえ、ほとんど意味のある関係はない。
女性は、誠実な男性の方を好むとありましたが、浮気性な男性で、数々の女性と関係を持つ男性でもモテる人はいます。
それは、その男が浮気性であることはうまく隠す術をもっていたり、絶世のイケメンだったりするからなのかもしれない。ぜひ見習いたい才能だ。
ホームページにアップされるのを講義の前にノートに書いておくともっと早く進めると思います。
授業で使うスライドのPDFファイルをWebサイトにあらかじめアップロードしてほしい、という要望だと思うが、それはいくつかの理由から難しい。第1に、事前にアップロードしてもノートを取っておく学生は少数だろう。従って、まだノートを取っていない学生のために進度を遅らせる必要がある。既にノートを取っている学生はその対応が不満になるだろう。第2に、僕が授業のスライドを完成させるのは授業の前の日の晩なのだ。
ホームページ→Webサイト
アップ→アップロード
用語は正しく。
ブログを読むとおもしろそうなので読もうと思った。
ちゃんと朝ご飯の前にチェックするように。
何故人間だけが快楽のためだけに性行為をするようになったのか?
それは、避妊ができるから。
娘などが自分の父親似の男性を好きになると俗説で聞いたことがある
その真偽 (データ) がこちらには確認できないので、何とも言えないが、その可能性は十分にありそうだ。娘は、自分の父親を好きになった母親の遺伝子を受け継いでいるわけなので。
同性愛者である方は、遺伝なんですね。
遺伝が100%ということはない。環境要因も相当寄与しているだろう。
人間はある程度で妥協するところがあると思います (好みのタイプとか)。動物の中ではそういうことはあるんですか?
ある。オスの間でメスを争って激しいぶつかり合いがあるような種では、弱いオスはどんなメスとでもよいから交配しようとするだろう。
この授業、進化心理学を学ぶとき、内容を自分自身に重ねて考えたりする事は、学ぶ上で非常に妨げになると思いました。
その通り。理論的な話と、具体的な自分自身の話は切り分けて考えた方がよいだろう。
1回/1wはブログを拝見しています。(中略) 授業を楽しみにしているので、今回は、あまり進まず残念でした。
ブログは朝ご飯の前に、毎日見よう (ただし、毎日更新しているわけではない)。今日は予定以上にしゃべってしまい、ほとんど内容が進まなかった。申し訳ない (ちなみに、中略した部分に僕の都合の悪いことが書かれていたわけではない)。
人口がどちらか一方に偏って増えたら同性愛者が増えるという話を聞いたことがある
だいたい全人口の10%弱が同性愛者であるという話があるけれど、男女比の偏りについてはの説は聞いたことがない。いずれにしても、同性愛傾向というものは「生物学の常識から外れたもの」でもなんでもない。一定比率で同性愛者が存在するというのは人間という種の特徴の一つなのだ。この点について、「同性愛者は遺伝子を残せないから生物学的に劣っている」といった意見があるとしたら、それは似非進化論である。
先週読んだ本で、哲学者の方が進化の側面から自分を知ろうみたいな本だったんですが
それって、内井惣七というひとじゃなかった?
「カミカゼ精子」とつけたのは日本でじゃなくて、ベイカーとベリスなんですか?
kamikazeはもう英語になっている (kamikazeの英語の説明)。元寇のときに吹いたやつというより、太平洋戦争時の特別攻撃隊から有名になったようだ。「カミカゼ精子仮説」は、”Kamikaze Sperm Hypothesis”をそのまま訳したもの。
対称性の高い男性の精子は受精しやすいというのにはビックリした。そう考えると私は受精しにくいと思った。
残念ながらこの方のパートナーが「対称ではない=イケメンではない」ということなのだろうか? とはいえ、受精しにくい/しやすいというのは非常に小さな確率の問題だろう。むしろ避妊する/しないによる影響の方が遥かに大きいから、子どもを望まない場合にはきちんと避妊をしよう。
イケメンとSEXすれば気持ち良いと感じる女性が多いと講義中に言っていたが、それは男性側のテクニックとは無関係なのだろうか?
ちょっと誤解があるかもしれない。「気持ちが良い」かどうかは、当然心理的な問題である。だから、必ずしも対称顔のイケメンとしたからといっていつも気持ちがよいわけではない。相手がブサメンでも大好きな相手とだったら抱き合うだけでも気持ちいいでしょ? ただ、女性が性的絶頂に達しやすいかどうかには男性側の対称性が関わっていて、それは優秀な遺伝子を持つ男性の子を妊娠しやすくさせる機能を持っているという話。当然「テクニック」も関係してくる (そんな話をさせるんじゃない!)。
血液型占いを否定する男の人はモテない
いいえ、そんなことはありません。血液型占いばっかりやっているような男よりはモテるはず。
アーガイル柄のニットが似合ってますね。
ありがとう。この出席カードを家宝にする (残念ながら服装や性格を褒められることは皆無に等しいのだ)。アーガイルは今年の流行だよね。
教室内が寒いので、暖房の温度を上げてほしいです
それも教務の管轄なので、ぜひ教務課に要望を伝えてほしい。僕は暖房のスイッチを持っていない。
「イケメンとやった方が気持ちいい」など、他の先生は絶対に言わないようなことを言えるのが本当にすごいと思う (嫌みではありません)。
言ってから少し後悔した。なぜなら、既に別の方への回答で書いたように、これは誤解の恐れがあるからだ。正確に言うなら「対称性は免疫系が強固であることを示唆しており、そうした特徴を持っている男性と交配すると、女性は性的絶頂に達する確率が高くなる。絶頂感は受精のしやすさと関係しており、そうした働きは自分の遺伝子を後世に残す上で有効である」ということ。
調査が長すぎて疲れました。
申し訳ない。おもしろい結果が出るはずなので、待っていてほしい。
ブログに車についての回答が詳しく書いてあったんですが、何の車に乗っているのですか?
だから、他のところも読んでよ! 車はハーモニーロードで待ち伏せしていれば分かる。
しゃべりが長くて大丈夫かなあと思いながら聞いていました。
だいたい学生の方が冷静だよね……。
(受精について) 数によるコストを減らして、より確実になるように、受精させるという進化はなかったのだろうか?
なかなかおもしろいポイントだ。もちろん、そういう進化もあり得ただろう。しかし、人間は「質より量」を選んだ。それは精子を製造することが安価だったからだろう。精子を作るのにもっと多くの体力を必要とするなら、より確実に受精させる方向での進化が起こったに違いない。
ブログを見て3行以上書かないと出席点がないと知りました。前々回のカードに2行しかかいていないのですが、本当に出席点ナシですか?
なしです。授業中にも言っているのだから、話はちゃんと聞くように。
最近の授業は、朝から過激すぎる。
それだと、まるで僕が過激な授業をしているような印象を与えてしまうではないか。全部ふつうの「教科書」に書かれているような内容ばかりだよ。
ところで、最近「進化の反対語は何か」なんてことを考えてます。(中略) 進化の反対語は「無変化」だと思います。
正解! かなり賢いコメント。進化とは「集団内の遺伝子頻度が時間的に変動すること」を意味する。簡単に言えば進化=変化のこと。従って、「退化」も進化である。「退化」なんてのは間違った言葉。
ちゃんと皆の質問に答えている先生はすばらしいと思います。
もっと褒めて!
話し (私語) をしている人がいたら積極的に注意してほしい。
ごもっともなご意見。次回から私語をしている人は学生証をチェックして成績に反映させるから、そのつもりで! ちなみに、名詞は「話」ね。「話し」じゃないよ。
世の中には顔がかっこいい男、体力が強い男といるが女性は最終的にどちらの男を選ぶのかと思った。
「かっこうよくて、体力が強い」男がもてる。どちらかが優位ということを判断する材料はない。
ノートを書くより先生の話を聞いている方がおもしろい
話すのは体力が要ることなので、毎回これをやると「給料分以上」働いた気分になって、こちらはあまりおもしろくないのだ、残念なことに。
「数少ない誠実な男性を得ようと女性は自分をよくみせようとがんばる」という形の方が人間社会の傾向なんじゃないか
いいえ、資源としてはオスよりもメスの方が貴重 (精子を作るコストと卵子を作るコストの違い) なので、あくまで選ぶのはメスの方。
次からちゃんとパソコンで見るようにしたいと思います。
みなさんのために携帯用サイトも用意している。一番いいのは、iPhone 3Gを購入して、それでブログを確認することだ。
人間の性行動が、心理学で語られるのは変な感じがしました。
ところが、性行動は「進化心理学」の中心的な研究テーマの一つになっている。心理学は人間行動だったら何でも扱ってる。
先生は、誠実な男性はモテて、浮気性な男性はモテないと言っていたけど、モテているから浮気性になるのではないかと思いました。
鋭い。正確にいうと「浮気性であることが女性にバレるような馬鹿な男はモテない」ということ。
なかなか子供が出来ないカップルは女性が絶頂に達していないってことですか?
いいえ、絶頂に達しなくても子どもはできる。子どもができない理由にはいろいろあるので、絶頂に達していないから子どもができない、という話にはならない。
誠実とはどういうことですか? 女性は、それをどう判断するんですか?
誠実とは、浮気をする能力がありながら、それをしないという行動傾向のこと。女性は「女の勘」でそれを判断する。ジャケットについて香水の香りとか、長過ぎる言い訳とか、要注意。
血液型による性格の違いは信じていいのでしょうか?
だめです。解明されていない部分があるといって、それを信じるのはオカルトです。
なんか精子の話ばっかりだった気がする。
だって教科書に書いてあるんだもん……。